「改正マイナンバー法を見直し、健康保険証の継続を求める意見書」案に対する見解および対応について

はじめに

2023年9月の議会において、「改正マイナンバー法を見直し、健康保険証の継続を求める意見書」案が審議されました。この議案に対して、私は「退席」(採決を放棄)を選択いたしました。当意見書に対する見解、および退席理由を書かせていただきます。

まず、今回の意見書にあるマイナンバーカードと健康保険証の一体化(マイナ保険証)についてご心配の声も多くあることは、理解しているところであります。もちろん、懸念点や要望などをしっかりと国に伝えていくことも大事なことであり、与党を監視するためにも、国に声を上げていく必要はあると思います。

ただ今回の審議は、議案であるこの意見書案を「日高市議会」が主体となって国に提出するべきかの是非が論点となります。つまり「国策」としてのマイナ保険証の是非ではなく、当事件が「日高市の公益」に資するかを判断した上で「日高市議会」として意見書を出すか否かの判断となります。

マイナ保険証の制度については、今回の意見書が議案として提出されるであろうと分かったのち、改めて時間をかけて調査研究いたしました。今回の意見書に関し賛成派と反対派の立場をヒアリングし、自身で情報収集を試み、情報が偏らないようなるべく多角的な視点から捉えようとしましたが、それでも意見書に対して多くの疑問が残りました。

そこで、私が行った質疑は以下です。

1. 日高市への影響は
2. マイナ保険証延期の有意性および実効性
3. 少子高齢化、働き手の減少問題による事務コストの増加と、若者への影響
4. 俯瞰的な判断の必要性
5. 情報リテラシーの重要性
6. 否決がわかっている意見書の提出理由

審議当日に質疑を行い、納得のいく答弁が得られなかったため、「退席」を決断いたしました。

退席理由

以下3点、退席の理由です。

①日高市の公益に関する事件であると判断できなかったため
②したがって、本来の地方議会の役割と乖離があるため
③意見書の内容、要望内容が具体的でなく、かつ情報が偏っているため

①日高市の公益性について

地方自治法第99条には、「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき、意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。」となっています。つまり、日高市の公益に関する事件についてのみ、意見書が提出できることになっていますので、当然のことながら現行の健康保険証廃止による日高市行政や市民への影響を考える必要があります。

例えば、日高市役所職員および日高市内の医療機関で、どれだけ理解が進んでいないのか、日高市民の内、どんな人が何人くらい、マイナンバーカードの申請ができずに困るなど、日高市の具体的な事例があった上で議論する必要があるかと思うのですが、そのような質疑に対して、残念ながら明確なご答弁をいただけなかったです。

②本来の地方議会の役割

まず原則として、地方議会議員の活動は、地方自治法に基づくべきであるというのが、大前提としてあります。地方自治法第89条2項においても「普通地方公共団体の議会は、この法律の定めるところにより当該普通地方公共団体の重要な意思決定に関する事件を議決し、並びにこの法律に定める検査及び調査その他の権限を行使する。」としており、地方議会は、地方自治体の議事機関であることが明記されています。

つまり、地方議員は、市民の声を受けて市政を良くすることを使命とし、市議会議員としての役割を全うする責務があります。具体的には、議会における一般質問や、請願の紹介議員、各委員会の委員など様々な活動を通じて市民の要望に応えるわけです。

因みにですが、国会議員と地方議員では、同じ「議員」でも職務・職責が全く異なります。国会議員は、国の立法権があり、地方議員は、地方自治体の行政権があるのみで、国の事務事業について特別詳しいというわけでもありません。国政における政策決定は国会議員の責務であり、地方議員としてはその実行権や調査権を持たないため、国の事業を評価することは、大変難しいことです。当然ながら市議会議員として市政における職務が優先されるべきであり、国の政策そのものの是非を論じることは、本来の職務の領域を超えていると感じています。

③意見書の内容の正当性について

・俯瞰的な判断の必要性
現行の健康保険証継続の是非を議論するにあたり、多くの論点を考慮する必要がありますが、国のDX推進の実態のみならず、高齢化社会、働き手不足、環境問題、人件費・事務コストの増大、事務の効率化、国の財政などといった観点、そして今回は、日高市特有の現状も鑑み、長期的、かつ俯瞰的に見て判断をする必要があると考えますが、私自身、そこまでの調査研究をすることは、地方議員の立場では限界があり、その是非を判断するには大変難しいところがありました。

提案者に対しても、現行の健康保険証を継続するべきであると判断されるにあたり、マイナ保険証と現行の健康保険証それぞれのメリットを、どのように比較し、継続すべきという判断に至ったのか質疑いたしました。こちらは「現行の健康保険証廃止のデメリットで判断した」とのご答弁で、きわめて限定的な視野での判断と感じました。

・情報リテラシーの重要性
多くのメディアでは、マイナ保険証に関してのエラーやトラブルが取り沙汰されており、マイナ保険証導入の必要性やメリット等が取り上げられる機会が少ないと感じています。「ニュース」という事件性のある出来事が好まれるメディアの性質上、仕方のないことではありますが、情報が偏ってしまう可能性も否定できません。
また、インターネットなどでは、自分の考えに合う情報を選びがちなので、異なる意見が入って来にくい現実があります。

市議会、意見書という形で、正式に国に対して意見表明をするにあたっては、慎重かつ熟慮された意見書であるべきと考えます。当意見書を見ると、例えば、世論調査の結果が1つ引用されていますが、意見書の内容に有利な調査を選んでいるように見受けられましたので(調べたところ、世論調査の結果は、調査機関によって全く異なったものでした)、質疑をいたしましたところ、単に一つの情報として取り上げたとのご答弁でした。この意見書を読んだ人は、そのデータを見て判断材料にする可能性があることから、このような偏りのある情報提供は、議会が議決する意見書に書かれる情報として、ふさわしくないように感じます。

立憲民主党としての立場から

私は立憲民主党の党員でもありますので、その立場からもお話します。

私は立憲民主党が好きで、党員です。政策や理念が近しいのです。公認をいただく前に立憲民主党の国会議員の方とお話した際も、「近藤さんは確かに立憲民主党と政策が似ているね」とのお言葉をいただきました。私が入党後も立憲民主党の根本的な理念は変わらないはずです。

その立憲民主党は、現行の健康保険証については、残すべきと主張しています。今回の意見書と同じ考えと言えます。立憲民主党員としては、原則的には、その意向に遵守するべきであることは、理解しております。その中でも、政務調査会が示す方針に盲従するのではなく、自分なりに十分理解し、地方議会の状況等を鑑みたうえで、スタンスを決めるべきであると考えます。今期、各地方議会で同様の意見書が出されていますが、立憲民主党で、賛成できなかったという地方議員は私だけではありませんでした。もちろん私が所属する総支部には、必ずしも賛成しない旨は事前に承認をいただいており、国会議員の方にもお話しさせていただきました。

最後に

「退席」という行動は、投票権を放棄したことを意味し、一部の市民の方々からは批判の声をいただくこともあることは承知しています。今回採決する前に、本当にいろんな方々とお話しさせていただきました。立憲民主党の議員はもちろん、他政党の方、国会議員、支援者の方等と情報交換や意見交換を行い、そして最終的に提案者のご答弁を聞き、退席することにしました。

「退席」は、例えば国政に積極的に関与しないという意思表示でもあったり、議案に対して白黒つけるべき案件でないという意思を示す行動としてもあり得ると考えます。選挙の際に、あえて白票を投じて「どの候補者にも支持しない」という意思表示をするのと似ているかなと思います。国政、市政に関する議論が多くの場合、YesかNoかの二元論である政治の性質についても懸念しております。日高市議会においても例外ではなく、健全かつ建設的な議論を実現するための環境を模索する余地があるのでは、と切に思っています。

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